こちらの記事ではプロのイラストレーターさんが依頼を受けてからどういった流れで制作を行っているのか、実際にお話しを聞いた内容をもとにまとめていきたいと思います。
この記事を書いた理由は、皆さんのイラストレーターになりたい!という夢を少しでも後押ししたいと思ったからです。
正直、僕自身もそこまで仕事をした経験がありませんが、だからこそ初心者目線で疑問や不安に寄り添った記事を書こうと思った次第です。
もちろん、仕事のやり方や流れは受ける仕事や人によって異なるとは思いますが、ある程度頭に入れておくことで仕事がしやすくなると思います。
心理的に何も知らずに行動するよりも、ある程度流れや内容を知った上で行動したほうが抵抗感が減りチャレンジしやすくなりますので、知っていて損はないと思いますよ!
依頼内容を確認する
クライアントさんから依頼を受けた場合に押さえておきたいポイントが3つあります。
- キャンバスサイズを聞く
- 使用用途を確認する
- 禁止事項・注意点を確認する
当たり前のことですが、意外と「緊張してつい聞きそびれてしまった」、なんてこともあるかと思いますので注意が必要です。
- キャンバスサイズ
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これは聞かずともおそらく言ってはくれると思いますが、仕事をする上でキャンバスサイズが間違っていると後で修正するのが大変なので必ず確認する。(僕自身もサイズ間違っていたことがあってあのときは焦りました)サイズが違っているとせっかく描いたイラストの一部を修正したり加筆したりしなければならない場合があるので気をつけたいところ。
- 用途を確認する
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書籍の表紙やポスター、広告など用途によって押さえるべきポイントは様々です。用途によってイラストの見せ方やサイズ、目的に合わせたイラストのテーマの設定など決まってくるのでしっかりと確認することが大事です。
- 禁止事項・注意点を確認する
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例えば書籍の表紙などでは、帯が付くためその部分に主要な要素は配置しない。など用途によってこれやっちゃいけないなどの注意点があるそうです。初心者の人ほどそういった部分を聞きそびれてしまうことも考えられるので注意しましょう。(僕もそういった場面では緊張して聞きそびれてしまうかもと思って話を聞いてました)
テーマを決める
打ち合わせが終わったら次にイラスト制作の核になるテーマ設定を行います。
- キーワードの選定
- マインドマップ
- タイトルを決める
- キーワードの選定
-
これはどんな目的でイラスト描くのか、誰に何を伝えたいのか?を意識して選びます。例えば専門学校の学生募集の案件なら「学び」や「その学校の特徴」など、メインとなるキーワードを選びます。もしくはその会社の象徴的なモチーフなどでもいいかもしれません。
- マインドマップ
-
メインのキーワードが決まったら、それをマインドマップを使ってアイデアを広げていきます。そのキーワードがから連想される単語をどんどん描いていきましょう!枝葉のように派生していった単語から3〜5つ選んでそれを3つのグループに分けます。(3つのグループに分けるのはラフ3案作る場合)
- タイトルを決める
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先に決めてしまう理由は、そうすることで「ゴールを見失わずに制作できるから」です。制作過程でありがちなのが元々のアイデアからぶれてしまい、最初の目的とずれてしまうことが多いため。これは僕も経験ありますが、つい途中でこうしようああしようとやってしまうんですよね。なのでタイトルを決めて迷ってしまわないようにする!というのも一つの手だと思います。
マインドマップの際の単語の選び方ですが、メインから近いものと遠いものでそれぞれメリット、デメリットがあります。(バランスよく選ぶのがポイント!)
- メインから近いもの
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メリット:わかりやすい、大衆的
デメリット:単純、ありきたり
- メインから遠いもの
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メリット:独創性
デメリット:わかりにくい
イメージする
テーマが決まれば、今度はそのアイデアを膨らませていきます。では具体的にどうすればいいのか?
それはこちらです。
- イメージを集める
- シュチュエーションを連想してみる
- イメージを集める
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決めたタイトルをGoogleなどで検索してみる。フリー素材の写真が掲載されているサイトなどで参考になりそうなリファレンス資料を集めてみる。関係ありそうな自分の経験や体験談を書き出してみる。など
- シュチュエーションを連想してみる
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- シュチュエーション
- 背景
- モチーフ
-
「どんな人がどんな場所で何をしているのか」を考えるということです。(イラストによって人物がいない場合もある)
-
例
- シュチュエーション:冬の寒い日に人の優しさに触れる
- 状況:街角
- モチーフ:通りすがりの人
制作中のポイント(下書きから完成までの工程)
ここから先はアーティストによってやり方が異なってくると思いますので、共通して意識すべきポイントだけさらっと解説したいと思います!
下書き
ここでは清書に向けてしっかりと情報を整理して、清書の際に迷わないようにするのが下書きの役割!
- キャンバスサイズの設定
- キャラクターデザイン
- シルエットの意識
- 情報のコントロール
- キャンバスサイズの設定
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塗り足しの追加:印刷などの場合のおいて裁断された際に白い余白が出ないように、指定されたキャンバスサイズよりも数ミリ大きめに設定する(裁ち落とし)
注意点:その断ち切り線ギリギリに重要な要素を配置しない!裁断されてしまう恐れがあるため。なるべく端は切られても問題ないようにしておく。
補足やり方:ペイントソフト→キャンバスサイズ変更→大体3〜5ミリ足した分の長さを入力する(ミリ数はあくまで目安)
- キャラクターデザイン
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骨格・素体から描く:立体的な説得力が出る(ただしいきなり骨格や素体から描くと絵が固くなるので、あくまで自分の描いたラフを修正するために使う)
コスチュームなど詳しく描く:資料を参照して描く、予め設定をデザインしておく
パースを意識する:ラフでは意識していなかったパースについても考慮していく(奥にいけば小さく見え、近くにくると大きく見えるなど)
- シルエットの意識
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「シルエットの状態で何をしているのかわかる」というのが大事!わかりやすいほど伝わりやすくなる。
静の印象:シルエットがひとかたまり
動の印象:シルエットに隙間を設ける(抜きと呼ばれる手法)躍動感が出る!
また、シルエットを鍛えることで得られるメリットもあるので、以前書いた「上達する上で欠かせない!?〇〇力の鍛え方と3つポイント」で解説してますので、よかったら参考にしてみてください。
- 情報のコントロール
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大事な部分の情報量(解像度)を上げる
一番最初に見てほしい部分:密度を濃くする
それ以外:密度を低くする
線画
- ペンの設定
- 線の引き方
- リズムをつける
- ペンの設定
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これは意外とないがしろにされがちですが、自分が書きやすい設定にカスタマイズすることで、ストレスが軽減したり、気持ちよく描けて制作がはかどったりとオススメです!自分なりの設定を試してみてください。
- 線の引き方
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直線や曲線、波線や線の強弱など様々な線を描けるように、日頃から多様な線を練習することが大事!どんな練習すればいいの?って方は、以前描いた「思うように線が描けるようになるには?」で記事にしてますのでよかったらそちらを参考にしてみてください。また線画をトレースしてみたり、画材によっての書き味の違いなど比べてみる、物の質感に合わせて描き方を変えてみるなども良いそうです。
- リズムを付ける
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左右対称ではなく、左右非対称を意識して描く。絵の構図やモノの配置なども同じように考える。例えば雲を描くときは大きさや線の長さなど変えることでリズムが生まれ、心地よく感じる。音楽でもずっと同じメロディではなく、Aメロは少し抑えめだけどサビでぐっと盛り上がるなど変化がある方が気持ちよく感じますよね?そういったイメージでイラストも表現することができる。構図であれば上に来たら下に、左なら右、S字ラインを意識して互い違いに配置するなど。そうやって考えてみると良いそうですよ。
塗り分け
- パーツごとに色を分ける
- 完成度の考え方
- 主線の色を変える
- パーツごとに色を分ける
-
こうすることで、視認性(見やすさ)がアップして作業しやすくなります!今どのパーツを塗っているのかわかりやすくなって便利です。
- 完成度の考え方
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丁寧な仕事を心がける!例えば塗り残しや荒い部分が目立っていると、そこに目がいって伝えたいことがうまく伝わらなくってしまう。それはもったいないので、そういった気配りは大事!時間の許す限り丁寧に仕上げる。
- 主線の色を変える
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エフェクトなどの部分の線を変更する。黒だと潰れてしまって見えたり、また違う物質だということを伝えるために色を変えておくと良いらしい。エフェクトの部分は光や現象を表す場合が多いのでそうした方が差別化できそれっぽくみせることができる。
まとめ
ざっと依頼から制作までの流れをご紹介してきました。
- 依頼内容を確認!疑問点や注意点を遠慮せずにどんどん聞くと良い。
- テーマを決める際は、「目的や誰に何を伝えたいのか」を明確にし、またクライアントさんの特徴をピックアップしよう!
- アイデアを形にしていくために、まずは資料や情報を集め下準備をしよう!また、前もってシュチュエーションや背景、モチーフを明確にしておこう!
- 下書きでは、清書に迷わないように情報を整理整頓し、シルエットの分かりやすさを意識しよう!
- 様々な線がかけるように日頃から練習しよう!
- 塗り分けの際は線の色を変えるなどして視認性を高めよう!
- 時間が許す限り丁寧に仕上げるよう心がけよう!
誰だって最初の一歩は怖いし不安でいっぱいになると思います。実際に僕自身もできるか不安でした。なので少しでも仕事内容や流れを理解することでその一歩を踏み出しやすくなればと思っています。
では次回またお会いしましょう!ありがとうございました。